【ネタバレ感想】ゆるキャン△ SEASON2 第4話 「バイトのお金で何を買う?」

ゆるキャン△ SEASON2』 第4話 「バイトのお金で何を買う?」を見て、あまりの素晴らしさに衝撃を受けたので、久々に作品単体での感想記事を書こうと思い筆を執った。

中でも特にEDアニメーションを見て大変感動したことは先に述べておくが、回全体を順を追って振り返っていく。

 

まずAパート前半は久々の野クル回で、すごく落ち着いて楽しむことができた。

野クルのノリ、キャンプ知識、リンと恵那の空気感、これぞ『ゆるキャン△』という安定感だった。

 

Aパート後半からは、サブタイトル通り「バイトのお金で何を買う?」の話が始まり、1期第8話「テスト、カリブー、まんじゅううまい」でカリブーを訪れて以来なでしこの目標と原動力になっていたキャンドルランプに焦点が当たる。

1期最終話「ふじさんとゆるキャンガール」のCパートで少し先の時系列のなでしことリンが描かれた際は、なでしこがキャンドルランプを使っているのを見て、「このあとなでしこがバイトを頑張ってこのキャンドルランプを買うんだ…」としみじみ想像を膨らませたものだ。

今回も、カリブーの店員の会話によってなでしこが何度もキャンドルランプを見に来ていることが描かれ、なでしこの気持ちが強調されていたところが非常に良かった。

 

次に、とても印象的だったのが、なでしこが身延駅でソロキャンについて考えるシーンの雰囲気作り。

カリブーでキャンドルランプを見たなでしこが次のキャンプのことを色々と想像しながら駆け出すというワクワク感のあるシーンから一転、なでしこが身延駅の階段を駆け上がって動きを止めると同時に劇伴がピタッと止まる。

そしてここから約1分間、視覚的にも聴覚的にもたっぷりと静寂を描き、満を持してなでしこはリンの「ソロキャンは寂しさも楽しむものなんだ、って」というセリフを思い返す。

このときのなでしこの気持ちは後の展開にも影響するため、とても丁寧に描かれているとともに、動き・音・時間というアニメならではの要素を存分に活かした表現がなされていた。

 

そしてBパート、なでしこがついにキャンドルランプを購入するシーンも去ることながら、全体的になでしこと桜のやり取りが大きな見どころになる。

この回の締めとしてなでしこが桜にハンディカイロをプレゼントするが、何ならもうその事実だけで感動してしまう。

もちろんそれはプレゼントという行為自体が単純に好きというだけではなくて、なでしこのいつも明るくて可愛くて皆に愛されるキャラクターや、桜がなでしこをとても大切に想っていることがこれまでに描かれてきたからこそ生まれる感動であり感情である。

 

ここでようやくこの記事の本題であるEDアニメーションの話に入る。

まず前提として、一応原作を読んでいるのでなでしこが桜にハンディカイロをプレゼントすることは覚えていたが、どうやって渡すかまでは覚えていなかった。

これはこの回を楽しむにあたって幸いだったかもしれない。

なので、なでしこが自宅でキャンドルランプを点灯させて話が終わりに近づいてきたとき、「あとはなでしこが桜にハンディカイロを渡すシーンが楽しみだな」と呑気に考えていた。

すると、何故か各務原家の外観を映した状態でEDに入ったものだから、EDアニメーションをカットして家だけをひたすら映し続けるとは一体どういうことなのか、と不思議に思った。

何はともあれ画面を眺めていると、窓から漏れる明かりの変化が時間の経過を表していることに気付く。

そして…

 

なでしこが玄関から出てきた瞬間、すべてを察した。

各務原家の外観を映し続ける演出の意味を理解し、なでしこの粋な計らいと桜を想う気持ちに胸を打たれ、気付けば涙が溢れていた。

さらに、なでしこが部屋に戻ると、なでしこの部屋と思わしき部屋からキャンドルランプの明かりが見え、なでしこの桜に対する想いとキャンドルランプに対する想いが同時に伝わってきて、感情がパンクしてしまった。

 

EDテーマ曲が終わり、車に乗り込んでなでしこからのプレゼントと手紙を見つける桜の何とも優しい表情と、満足げに眠るなでしこの寝顔を見て、とても安らかな気持ちになった。

わかりやすく「感動」を与えるアニメに心を動かされることは数あれど、今回のように純粋な「想い」や「感情」の大きさだけでここまで心を動かされることは初めてだったので、非常に衝撃的かつ最高の体験をすることができた。

 

その後原作を読み返してみると、漫画のコマとして描かれているのは桜が車に乗り込むシーンからで、早朝になでしこが車にプレゼントを置いたのであろうというのは行間として存在しているだけだった。

もちろん、それはそれで桜がプレゼントを見つけたときのインパクトが大きくなっているし、アニメと漫画それぞれの特性もあるので、比較してどうこう言う必要はない。

ここで言いたいのは、その行間を読み取り、EDアニメーションという形で表現する発想が本当に素晴らしいということ。

そして、明かりの変化を用いてタイムラプス的な表現を実現した点と、その変化の中にキャンドルランプの明かりを交えた点があまりにも巧みであること。

これはまさしくアニメにしかできないことであり、『ゆるキャン△』という漫画をアニメ化したことに対する価値の創出でもある。

1期の時点で『ゆるキャン△』はアニメで化けた作品の1つだと個人的に感じていたが、その要因の1つを今回は垣間見ることができた。

 

というわけで、この第4話は今まで見てきたすべてのアニメの中でもトップクラスの神回だった。

ゆるキャン△ SEASON2』は第1話Aパートがいきなり神がかっていて、改めて素晴らしいアニメだと実感していたところだったのに、一体どこまで評価を上げるのか。

このアニメの可能性には目を見張るばかりです。