【感想】少女☆歌劇 レヴュースタァライト

『劇場版 少女☆歌劇 レヴュースタァライト』がとても良いと聞いて、TVシリーズを一気見して劇場版まで観てきたので感想を書いてみる。

ただし、今の今までTVシリーズを見ていなかったことからもわかる通り、これまでの感想記事のように大好きな作品について語りたいという感じではないし、作品の考察のようなこともしていない。

むしろ苦手なジャンルの作品を見てみるというちょっとした挑戦において、自分の感じたことをそのまま書き留めるための、文字通りの「感想」。

一応内容のネタバレはしていないつもりだけど、気にする人は読まない方がいいかも。

 

 

まず、そもそもこれまでこの作品を敬遠してきた理由は以下の通り。

・ファンタジー要素が強いから苦手そう

・シュールな世界観や小難しい話がよくわからなさそう

・演劇やミュージカルの素養がないから楽しめなさそう

・声

さて、明らかに向いていなさそうなこのアニメ、果たして楽しむことができたのだろうか?

 

 

TVシリーズの感想

・1~4話

とにかく日常パートがすごく良いというのが第一印象。

キャラもかわいいし、ギャグも面白いし、作画も音楽も良いし、百合もある。

何ならこの感じで普通にワイワイ演劇を頑張るだけのアニメを作ってくれたら、それはそれでかなり好きな作品になりそうな気がする。

一方でレヴューに関してはやっぱりよくわからない…

このキリンは何?

・5話

この回がすごく良かったおかげで、なんだかんだ最後まで楽しめそうだな、と希望を持つことができた。

まひるちゃんの百合っぷりも最高だったし、レヴューのシーンを初めて楽しめたというのが大きい。

この回のレヴューは日常パートのストーリーとリンクしていたから単なるオーディションのためのレヴュー以上の意味があったし、何よりコミカルで面白かった。

・6話

一番好きな回。

主な理由は5話と同じだけど、そもそも香子と双葉のカップリングが好きというのもある。

・7~8話

レヴューにまつわる謎が明かされて衝撃を受けたのはもちろん、こんなに明快で理屈の通った真相があること自体がかなり意外だった。

その辺りはゴチャっとして結局よくわからないまま終わるんだろうと思っていたけど、この様子なら結構面白いストーリーになるのでは。

5~6話が好きな回だったことも相まって、この中盤で苦手意識はかなり薄らいできた。

・9~11話

フィナーレに向けて物語が一気に進み、目が離せない展開。

日常パートが少なくなってしまうのは仕方ないけど少し残念。

・12話

視聴前に抱いていた苦手意識がここに来て少し顕在化してしまったかな、という感じの最終回だった。

7~8話ではこの物語にきちんと理屈が通っていることに喜んでいたけど、やっぱり最後は理屈じゃないんだな、と痛感。

・総括

苦手な部分が多少ありつつも、思っていたよりずっと楽しめたし、良いアニメだった。

ただ、レヴューシーンそのものや星摘み云々の話は比較的どうでもよくて、ほのぼのとした日常パートやレヴューの謎が思いのほかスカッと明かされていくところが好きなので、一般的なこの作品のファンとは少しズレているような気もする。

 

 

続けて『少女☆歌劇 レヴュースタァライト ロンド・ロンド・ロンド』も視聴し、何だか不穏な雰囲気を察しつつも何はともあれ劇場版へ…

 

 

劇場版の感想

正直、1回目に観たときは意味がわからなかった。

とにかくレヴューの連続で、ストーリーらしいストーリーはほとんどなく、当然日常パートもない。

しかも、レヴューについてはTVシリーズで説明がついたはずなのに、それがあっという間に覆されてよくわからないものに逆戻りしてしまった。

本編がそういう感じだっただけに、めばちのイラストでみんなのエピローグを見せてくれたEDは本当に癒しだった…

 

帰ってから色々と情報を集めたり頭の中を整理したりしつつ、まあ一応もう1回くらいは見ておこうかなと考える。

そんな中で非常に刺激を受けたのが、古川知宏監督のインタビュー記事だった。

難解な作品とはうってかわって受け答えは実にわかりやすく、なおかつ重要な情報が盛り沢山。

このインタビューのおかげで、何となくこの映画の理解度が深まった感覚があったし、次に観るときに注目したいところがハッキリした。

 

そして迎えた2回目。

何とこれが、めちゃくちゃ良かった。

特に後半のワイルドスクリーンバロック、どのレヴューも最高にアツいし、一つ一つのセリフが本当にカッコいいし、作画も音楽も素晴らしかった。

というか今回のレヴューは、オーディションのためではなく己の感情をぶつけ合うためのレヴューという点でTVシリーズ5・6話のレヴューに通じるものがあるので、よく考えたら好きで当然だということに後から気付く。

しかしこの問答無用で魂を揺さぶられる体験というものは、後にパッケージ化されたものを家のTVやPCで見てもなかなか得られないと思うので、映画館でしっかりと味わうことができて本当に良かった。

 

では、1回目と2回目で何が違ったのか?

1回目は、頭の中を大量の「?」が支配してしまっていたのがノイズになっていたというか、「一体今何が起こっているのか?」「TVシリーズやロンド・ロンド・ロンドとの繋がりは?」というようなマクロな考えごとをしていたせいで、目の前に見えているものを全力で受け止めることができていなかった。

2回目は、もちろん全体像が見えていたというのもあるし、「わからなくていいこと」「考えなくていいこと」をあらかじめ切り分けることができていたおかげで、余計なことを考えずストレートに作品の熱を感じることができた。

これは、先のインタビューを読んで作品の理解度が深まっていたことが大きかった。

1回目は、TVシリーズの個人的見どころと劇場版の見どころが全く違うことを理解しておらず、綺麗に筋の通ったストーリーを期待してしまっていた。

2回目は、もっとシンプルにキャラクターを、その魂の叫びを、理屈ではなく心で感じるんだ、という覚悟で臨むことができた。

これは、先のインタビューで読んだ古川監督の『今回の劇場版は「ヤンキーマンガ」だと思って見てください。』という言葉が大きかった。

1回目は、なるべく画面全体が満遍なく見渡せるように映画館の中央付近の座席を選び、「映像作品」を鑑賞するつもりでいた。

2回目は、画面と音響をとにかく大迫力で浴びるためにかなり前方の座席を選び、観客である自分自身も含めて「生き物」としての劇を体験する心構えがあった。

これは、先のインタビューで読んだ古川監督の『映画を「鑑賞する」というよりも、ライブエンターテイメントを「観劇する」感覚で見ていただきたいなと思って作っています。』という言葉が大きかった。

 

そして、3回目は心だけでなく少し頭も働かせて、セリフや絵の意図を汲み取りながら観ることにした。

すると、新たな発見があったり、合点がいくところが段々と増えたりして、また一段とこの映画を楽しむことができた。

もちろん、まだまだ理解できていないことやそもそも正解なんてないこともたくさんあるだろうけど、ひとまず自分なりにこの映画を受け止め切ることができたと思う。

 

 

というわけで、結論。

少女☆歌劇 レヴュースタァライト』、重い腰を上げて見た甲斐があった、とても良い作品だった。

見る前にあれだけぶつくさ言ってた人間でもこれだけ楽しめたんだから、特に苦手意識のない普通のオタクたちがこぞって絶賛するわけだ。

これからは食わず嫌いせずにもっと色々な作品を見てみようと思います。