リズと青い鳥

アニメ映画『聲の形』のメインスタッフが再集結する形で制作した、アニメ『響け!ユーフォニアム』のスピンオフ作品『リズと青い鳥』を見てきたので感想を書こうと思う。

一応考察ではなくただの感想なのでネタバレにはならないはず。

 

まず、前作『聲の形』はどういう作品だったかというと、聴覚障害云々というよりは、いじめの加害者と被害者の関係を中心とした、実にリアルでエグい人間ドラマを描いた作品だった。

とにかく人間の醜い部分がぶつかり合い、個人的には登場人物のほとんどを嫌いになった。

一応なんとなくいい感じのエンディングを迎えるけど、それをハッピーエンドと思えるようなメンタルはとうになく、見終わったあとには何とも言えないモヤモヤとした感情を抱いた。

もちろん、一つ一つの細かい仕草から感情が伝わってくる映像や、濃密な人間ドラマは非常に見ごたえがあり、色々と考えさせられることも多かったけど、決して見終わったあとに「あぁ面白かった」と言えるような作品ではないと思う。

 

対して、『響け!ユーフォニアム』はどういう作品だったかというと、こちらも「過去の嫌な思い出が蘇ってくるので見れない」というコメントが一部から出るほどのリアルな人間ドラマで話題となった作品だった。

個人的にも、優子と麗奈のソロパートを巡るいざこざを見たときには一時本気で優子を嫌いになったし、アニメを見てこんなにネガティブな感情を抱いたのは初めての経験だった。

せっかく現実逃避してアニメを見ているのに、なんで現実の女子がガチでやってそうなドロドロしたやり取りを見せられなければならないんだと思うこともあった。

ただ、この作品がちゃんと「面白い」作品になった要因は、弱小吹奏楽部が熱血顧問の指導によって強豪校をなぎ倒すという王道のサクセスストーリーをしっかりなぞっている点だと思う。

「リアルな人間ドラマ」と「王道のサクセスストーリー」を融合させたことによって、一つ一つのシーンやちょっとしたセリフで心を響かせつつ、盛り上げる所はしっかり盛り上げるという、完璧なシナジー効果を生み出すことに成功していた。

 

ここでもう一つ、アニメ映画『さよならの朝に約束の花をかざろう』を見てわかったことがある。

俺はアニメを見る際、演出や作画のように感性で捉える「芸術」の部分より、ストーリーや脚本のように理屈で考える「物語」の部分を重視しているということだ。

なので、俺がアニメを見て感動するのは、衝撃的なストーリーで心を大きく揺さぶられたときや、グッと来るセリフでこれまでの思い出が一気に蘇ってきたときが多い。

反対に、どんなに手の込んだ作画や音楽で感動的なシーンを演出されても、ストーリーが平坦だったり設定に納得がいかないとあまり感動できない。

さよならの朝に約束の花をかざろう』のストーリーは、大筋としては出会って共に過ごして別れるという比較的単純なものだった。

そこに素晴らしい演出で肉付けをして感動的な作品に仕上げているわけだけど、やっぱり俺はストーリーの方にももう少し手が込んでいないと感動できないんだなと実感した。

 

さて、これまでの話を踏まえたうえで、本題の『リズと青い鳥』を見た感想を述べるとする。

まずこの作品は『響け!ユーフォニアム』に比べてかなり人間ドラマの方に重きを置いていて、作風としてはむしろ『聲の形』に近いと言っても過言ではないと思う。

特に、吹奏楽部がどうとかコンクールがどうとかいうストーリー性はほとんど排除され、ひたすら希美とみぞれの関係性のみに焦点を当てていた。

歪なまま続いてきた関係が進路をきっかけに崩れ始め、そんな二人を童話『リズと青い鳥』になぞらえて描いていくというもの。

一回目に見たときは『響け!ユーフォニアム』を見るつもりだったので、ストーリー性のなさに気を取られた部分もあったけど、二回目はこの作品がどういう作品なのかわかった上で見たので、細かい演出や一つ一つのセリフに集中できて、より楽しむことができた。

ただ、俺は前述の通り演出よりストーリーを重視するタイプなので、意図を理解するのが難しいシーンも多く、今のセリフや仕草にはどういう意味があったのかと終始頭をひねりながら見ていた。

元々みぞれは感情を表に出さない性格なため、作中の登場人物だけでなく俺もなかなか彼女の心情を読み取るのは難しかった。

その点、梨々花や優子などのサブキャラは考えていることがわかりやすく、彼女らが登場するシーンは見ていてとても楽しかった。

特にダブルリードの会のくだりや図書委員とのやり取りは、コミカルなシーンの少ないこの作品において大事な癒しだったと思う。

総括すると、個人的にはやっぱり『響け!ユーフォニアム』の作風の方が好きだけど、もちろんこれはこれで良い作品だった。

百合に関しては希美×みぞれよりも、梨々花×みぞれ、優子×みぞれ、久美子×麗奈あたりが見どころかと。

あとはもっといろんな人の感想や考察を聞いて理解を深めていきたいという感じ。

 

というわけで、『リズと青い鳥』の感想というよりは最近見たアニメ映画の感想とそこから読み取れる自分語りのような形になってしまった気がする。

まあでも本来こういうことを書くためにこのブログを始めたような気がするので、また何か考えることがあったら投稿しようと思います。