声優

以前からこのブログで再三オススメしていたアニメ『ナナマル サンバツ』だが、実はこのアニメにおいて一つだけ危惧すべき点があった。

それは、メインヒロインである深見真理の声を務めるのがタレントの川島海荷だということ。

このアニメには作中でも紹介されているクイズ番組『高校生クイズ』の4代目総合司会を務める枡太一がおまけパートでクイズマスターとして出演しており、同じく彼が総合司会を務めるバラエティー番組『ZIP!』と何やら色々繋がっているらしい。

そこで、『ZIP!』で枡太一と共に総合司会を務める川島海荷を無理矢理出演させた、といったところだろう。

さて、先日そのアニメ『ナナマル サンバツ』の第1話が放送されたわけだが…

川島海荷の演技が酷すぎる。

いくら素人とはいえさすがにここまで下手くそだとは想像していなかった。

しかもこのアニメ、もう少し話が進むと結構アツい展開の連続なんだが、そこでメインヒロインが喋るたびに水を差されると思うと本当に台無し。

まあ俺が色々言うより自分の耳で聞いてもらった方が早いと思うのでとりあえずアニメを見てほしい。

ちなみに、俺が今までで一番声優の演技が酷いと思ったアニメはダントツで『帰宅部活動記録』なんだが、このアニメはメインキャラクター5人中2人が下手くそな上に、動きが少なくセリフが多いタイプのアニメなので、かなり険しいことになっている。

しかも、後半で出てくるサブキャラの声優がその2人を超えるレベルで下手くそというまさかの二段構え。

内容の方は結構面白いのにもったいないアニメだった。

何が原因だったかというと、このアニメのクレジットには「キャスティング協力 日本ナレーション演技研究所」と表記されているので、おおかた日ナレの言われるがままオーディションもせずに声優を起用した結果がこの有様なのだろう。

それにしたって日ナレももう少し上手い声優を起用すればいいのに、これでは日ナレのレベルの低さを露呈するだけで何もメリットがないように思えるのだが…

何か別の狙いがあってこのアニメがそれに都合よく利用されただけなのか、はたまた日ナレが本気でキャスティングした結果がコレなのか、真相は不明。

で、結局何が言いたいのかというと、この手の問題で悪いのは下手くそな声優じゃなくて、明らかに実力の伴っていない声優を政治的な理由でキャスティングした上層部だということ。

というか、むしろ声優は被害者であることの方が多い。

実際、『帰宅部活動記録』で圧倒的な実力不足を露呈してしまった二人はそれ以降ほとんど仕事を貰えていない。

しっかり実力を付けてから順当に出世していれば今頃人気声優になっていた可能性だってあるのに、一つの黒歴史を作ってしまったせいでその道が閉ざされてしまった。

アニメ『SHIROBAKO』で、「クリエイターにとっては関わった作品が名刺代わり」という名台詞があったがまさしくその通りで、彼女らの名刺は『帰宅部活動記録』になってしまったわけである。

ナナマル サンバツ』に話を戻すと、現在ツイッターの検索窓に「川島海荷」と入力すると「川島海荷 棒読み」「川島海荷 下手」など、ネガティブなワードばかりがサジェストされる事態になっている。

おそらく放送前までは「川島海荷 ZIP」「川島海荷 かわいい」などのワードがサジェストされていただろうに、これでは本人もかわいそうだ。

そういえば、川島海荷の公式ツイッターを見てみると、7月2日から本人に代わってスタッフがツイートするようになっているのだが、もしかしたらこれはオタクからのバッシング対策なのではないだろうか。

最近オタクの間で声優のツイッターや公式アカウントにクソリプや苦情を送りつけるという反吐の出るような行為が流行しているそうなので、アニメを見たオタクが川島海荷の公式ツイッターに直接心無いリプライを送り付けることを危惧したのではないか、と勘繰ってしまう。

といったように、川島海荷をキャスティングしたことによるデメリットは無数に挙げられるのだが、果たしてそれを上回るほどのメリットをどこかの誰かが得ているのだろうか。

そして何よりもかわいそうなのは、政治的キャスティングによって数少ないチャンスを奪われた他の声優たちである。

アルバイトでお金を貯めながら養成所に通って、何年もレッスンして、一言しかセリフがないような役でも一生懸命練習して、現場で先輩の演技を見てたくさんのことを学んで、脇役で経験を積んで、実力が認められて、ようやく主演を務めることができる。

なかなか思うように演技が出来なかったり、しばらく仕事がなかったり、同期がどんどん人気声優になって焦ったり、新人声優に仕事を取られたり、そういう辛いことを乗り越えながらいつか花開くことを夢見て日々努力している声優たちが、実力のない声優が主演を務めているのを見たときにどんな思いを抱くのか、想像するのも心苦しい。

特に最近は『それが声優!』『SHIROBAKO』『ガーリッシュナンバー』など、声優の仕事に焦点を当てたアニメが多く、フィクションとはいえ声優が仕事に懸ける想いを少なからず知ってしまったので、こういうことがあると余計に悲しくなってしまう。

アニメというものはたくさんの人たちが関わって完成するものであるがゆえに、各方面との兼ね合いがあったり、ビジネスを意識した起用をせざるを得ないことも当然あるだろう。

しかし、一つの作品を作り上げる上で最低限のラインは守り、アニメ制作に情熱を注ぐクリエイターやスタッフたちの努力を踏みにじるようなことだけはやめてもらいたい。

というわけで、ただでさえここ数年声優のアイドル化に辟易していたのに、よりによって自分の好きな作品に汚点を残すような真似をされてしまったので、つい勢いで書き殴ってしまった。

あくまでただの一視聴者の意見なので、実際に現場や業界で起こっている事実とは異なるかもしれないし、オタクの大半が俺と同じことを思っているなどと驕ったことは言わないが、一人のオタクとして物申さずにはいられなかった。

最後に、『SHIROBAKO』の名台詞をもう一つ紹介して締めたいと思います。

「政治的なキャスティングは必ずバレます。そしてそれは断言できますが、作品にプラスになることはない。絶対にです。」