『けものフレンズ』というアニメがある。
この作品を、動物の擬人化みたいなキャラクターがチープなCGで動いてて知能の低そうな会話を繰り広げているシュールなアニメと認識している人がもしいたら今すぐに改めた方がいい。
俺はこの認識のまま軽い気持ちで『けものフレンズ』を見てしまったんだが、全然そんなもんじゃなかった。
この作品にはキャラ、伏線、日常、ギャグ、音楽など様々な魅力があるけど、その辺はもう散々語り尽くされていると思うので、俺は先日の記事で触れた「みんな違って、みんないい」という観点からこの作品の魅力について説明していきたい。
まず最初に主人公のかばんとサーバルが出会い、かばんが何のフレンズなのか判断するために身体能力について調べたところ、足は遅い、木は登れない、空は飛べない、泳げないというダメダメっぷりを見せるところから物語は始まる。
そこでサーバルがかばんに言ったセリフこそが、かの有名な「フレンズによって得意なこと違うから!」である。
このサーバルの底抜けのポジティブさがこの作品を支える大きな要素だと思う。
そして、しばらくかばんと共に行動するうちに、サーバルが段々とかばんの長所に気付き始め、セルリアンとの戦いでついに彼女の最大の長所が判明する。
それが「知能」だ。
その後、図書館を目指す彼女たちの前には数々の困難や問題が待ち受けるが、かばんは持ち前の知能でそれらを解決していく、というのが前半の大まかな流れである。
つまり、身体能力はダメダメでも優れた知能を持つかばんと、身体能力が優れているがおつむが弱いサーバルは、お互いの長所と短所を補い合う関係というわけ。
さらに、俺がこのアニメを最も象徴していると思うのが第5話。
考えすぎてなかなか行動に移せない心配性なアメリカビーバーと、考える前に身体が動いてしまうせっかちなプレーリードッグがそれぞれ悩みを抱えていて、それぞれの人財の強みを的確に見抜いたかばんのフレキシブルなダイバーシティマネジメントによってウィンウィンなパートナーシップを築き、シナジーが生まれてベストなソリューションが実現された話。
この回を見て俺は思った。
そうか、この作品が伝えたいことはいわゆる「みんな違って、みんないい」という概念なのか。
人それぞれ長所と短所があるんだからかばんとサーバルのように互いに補い合って生きていけということか。
「フレンズによって得意なこと違うから!」というセリフはまさにその象徴だったというわけか。
まあこれが俺のただの思い込みなのかどうかは別として、この辺りから一気にこの作品に引き込まれた感じがした。
その後もかばんの快進撃は続き、物語はジャパリパークの謎に迫る最終章へ。
最終章はさっき言ったような「この作品が伝えたいこと」についてはあまり主張せず、ストーリーと伏線がメインの展開。
と思いきや、最後に度肝を抜かれた。
「みんな違って、みんないい」
「フレンズによって得意なこと違うから!」
「かばんとサーバルはお互いの短所を補い合う関係」
たしかに素晴らしい。
でも、この作品はそれで満足しなかった。
続きは明日更新予定のネタバレありの記事で。